特別展示 「秘伝千羽鶴折形」の再現
「秘伝千羽鶴折形」
1797 年(寛政9年)に刊行された、切りつないだ49種の折り鶴を示した書籍。
出版者は、京都の吉野屋為八。つなぎ折り鶴の作者は、桑名の長円寺住職・義道 (1762年 - 1834年)。号を魯縞庵(ろこうあん)と称する。編著者は籬島(あきさとりとう)、絵師は竹原春泉斎
翻字、ローマ字化にあたり
翻字の指針
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原則として、原本に書かれてある通りの再現を試みた。
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そのため、本来ならひらがながふさわしいと思われる箇所でも、特にハやミなど、カタカナ表記のものはカタカナのままとした。
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また、濁点、半濁点については、原本で視認できるものは翻字にも反映させたが、原本で視認できなかったものについては、反映させていない。これは、版によって、あるいは印刷状態によって諸本に異同の見られる点であり、あくまで今回は原本に従った。
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靏、圖などは、原本に従って旧漢字体または現行の字体として再現を試みた。
ローマ字化の指針
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「『秘傳千羽靏折形 完』に興味を持ち、ローマ字を仮名に対応させる程度の日本語の知識がある、諸外国の閲覧者」を想定し、その方々が日本語の辞書や和英辞典などを用いて、単語の意味を追える端緒となるテキストをつくることを念頭に置いた。
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そのために、原本の読みは現代仮名遣いでなされる読み方に従った。これは、例えば「百靏」の場合、歴史的仮名遣いで処理した場合に「ひゃつかく」「ひやつかく」「ひゃっくわく」「ひやつくはく」などの表記の揺れの余地をもたらし、調べるに当たり困難をもたらすと予想されるからである。
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ローマ字表記は原則として、東京大学教養学部英語部会/教養教育開発機構 (2009)「日本語のローマ字表記の推奨形式」 に倣い、ヘボン式とした。
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原則として、名詞、形容詞、形容動詞、副詞、連体詞、序詞は単語ごとに分かち書きをした。助動詞については、接続する用言とともに表記した。この点は、前述「日本語のローマ字表記の推奨形式」に倣っている。(例:恋をめさるる koi-o mesaruru)
以下の二点は、解読の便宜を図るために独自に設けたものである。そのため「日本語のローマ字表記の推奨形式」には記載されていない。
①助詞は、直前の自立語と共に、半角ハイフン-で結んだ。
(例:恋をkoi-o、 有明の ariake-no、)
②動詞の活用形について、連体形は直後に連なる体現を半角イコール=で結んだ。ただし、終止形あるいは終止として用いられた連体形については、そのようにしていない。これは、特に室町以降の日本語が、連体形と終止形の混同・移行を経ており、見分けにくいと思われるためである。
(例:揚る力あり 恋のおも荷を… aguru=chikara ari koi-no omoni-o…)
翻字にあたっての参考文献
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大塚由良美(2006)『伝承折り紙連鶴49』スタジオクリエイティブ
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岡村昌夫(2006)『つなぎ折鶴の世界:秘伝千羽鶴折形』本の泉社
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笠原邦彦(1976)『新版・千羽鶴折形』すばる書房
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笠原邦彦(1976)『おりがみ:江戸の古典 千羽鶴折形』すばる書房
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富田瑞穂(2008)『一枚の紙で折る京連鶴』PHP研究所
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日本折紙協会(1991)『秘伝千羽鶴折形 復刻と解説』
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『角川古語大辞典』角川書店
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児玉幸多編(1993)『くずし字用例辞典』東京堂出版
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中田易直ほか編(1977)『用例かな大字典』柏書房
(中村智晴)